top of page

未来芸術家列伝 IV :
宇宙と貨幣

《宇宙》は最古のレディメイド

宗教の時代、《宇宙》は神という作者の作品でした。しかし、信仰が弱まるにつれ、《宇宙》がレディ・メイドだったことが明らかになります。『未来芸術家列伝』には最古のレディ・メイドとして《宇宙》が掲載されています。その作者として、ピタゴラスやプトレマイオス、ニュートンやアインシュタインと いった膨大な数の哲学者や科学者の名前が並んでいます。彼らはそれぞれ《宇宙》を発見し、そこに名前と日付を刻みましだ。さらに続けて、その作品が既に失われてしまった作者の名前が膨大に並んでいます。プラトンが燃やしてしまったデモクリトスの宇宙は灰となって未来のどこかにも漂っています。


 


《貨幣》は未来のオブジェクト

かつて《貨幣》は金を表象するものでした。しかし、それが金と交換できなくなった時、《貨幣》の純粋は抽象性が明らかになります。それは信じられるゆえに存在します。現在の《貨幣》は、未来の返済を担保に創造されます。つまり《貨幣》とは未来への投機そのものであり、未来がなくなると貨幣もなくなってしまいます。逆に言えば、いかなる貨幣も結果的には無価値になります。確率的に損することが決まっている宝くじやギャンブルに需要があることから分かる通り、貨幣が象徴する未来は、確率論的に実現が予想される未来とは異なり、信仰の世界にあります。未来とは何らかの不確定性であり、未来がある限り信仰は残ります。《貨幣》は、実現可能性とは切り離された純粋信仰のアクチュアリティを示しています。



 

未来芸術家列伝 IV:宇宙と貨幣
An Art User Conference
 

会期:2017年10月26日 - 11月5日

12:00 - 20:00(10月26日は16:00 - 20:00、11月5日は12:00 - 19:00)

会場:S.Y.P Art Space(東京都新宿区住吉町10-10)
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団アーツカウンシル東京 

bottom of page